一流クラスのオペラ歌手の絶頂期から、老齢期にかけての変化を分析しようと、様々な音源を聴き、一つのパターンが判った。
例えば、第二期黄金期の歌唱技術を有すると思われる歌手は、若い時期は、ビッシリと埋まった、小気味良くシャープな印象の声だったものが、加齢に伴い、そのビッシリ感が、ルーズに変化し、パッサッジョ域より大きな揺れが起きるようになる。
要するに、息が太くなるという変化が起きるのだ。
息の抵抗を、絶頂期と同じように保とうとすると、体力的に無理が生じるのか?
息を少しばかりルーズに流す方が、一応、高音域まで唄う事が可能になるから、そちらに変化して行くのか?
もし、老齢化した歌手が、絶頂期の歌い方を「少し無理がある歌い方」と判断した場合、指導において、若い学生などに、最初からルーズに流すタイプの歌唱を促す事もあるのでは無かろうか?
そうした場合に、そのルーズなタイプを教わった若手は、老齢化した場合、寄り不具合の度合いが多くなる事も、充分に考えられる。
現代の発声メソッドが、ルーズに偏っているのも、そう言った背景もあるのでは無かろうか?と察する次第である。
この問題は、私自身の老齢化による変化の考察でも、明らかにし、決着をつけたいと思っている。
今のところ、53歳現在の時点が、私の絶頂期である。(笑)
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声の老化
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