オペラ歌手に憧れて声楽を学ぶ人は、偉大な歌手の過去の演奏に触発されていたに違いありません!
しかし、良く考えてみて下さい。
オペラ歌手が、どの様な仕事なのか?
現実に、どの様な過酷な仕事なのか、知らずに、自らのイメージだけで思い描いた憧れに過ぎない事を、もう一度考え直しては如何であろうか?
現実に、食べていけないどころか、早死にする人も多いのである!
それに憧れて、少しでもその真似事をするだけで、夢の一部が叶ったと言う僅かな幸せと引き換えに、多大なる社会的不安を抱え込む事にも成るだろう!
私の門下生は、立派な定職に就いていらっしゃる方々が多く、発声への探究心旺盛な人達である。
現実と夢のバランスが良いと言う事も、大切では無かろうか?
無謀なる夢に偏るのは、夢から覚めきっていないとも言え、私の経験からも、精神衛生上でもお勧めしない。
現実認識力は、あらゆる分野で一流とそうでない者を分け隔てる要素の一つであるのかも知れない。
夢を見続けて生きられるなら、そんなおめでたい事は無いのである!