実際に、歌ってみせるのと、生徒さんが出す声に対してジャッジ、アドバイスを施すのと、どちらが難しいでしょうか?
私は常に思うのですが、出たものに対してジャッジする事は、ある意味楽な作業なんです。
ただし、そこから、「どうすればよいか?」と言う話になると、言いっぱなしであれば簡単ですが、実際に成果を上げる事は難しいでしょう。
何となく知ったか振りで教える事も出来る為、それこそ知ったか振り詐欺紛いの指導も多くなるのでは無いでしょうか。
何が難しいのか?
それは、ジャッジされない段階から、自分で瞬間的に適切なるバランスを察知して作り出す事なのです。
厳密に言うと、常に未知の世界への挑戦であるのです。
人の演奏を評価するのも貶すのも、そんな簡単な事は無いのです。
結果を判断する事が出来るだけでは、理解した事には成らず、自分でバランスを作り出す事が出来て、初めて自分のものになったと言えるでしょう。
そして、その事は、指導にも生きて来ます。
それこそ、その一期一会的なその場の出来事に、それぞれ最適なる助言を与える事は、教条主義的な押し付けに比べ、遥かに難しく、職人芸的な世界でもあります。
良い指導者は、その場の雰囲気から、駆け引きによるインスピレーションが働きますが、巧くない指導者は、ただ、ドグマを押し付けるだけでしょう。
アドリブ力が鍵となると思います。
この事は、自分の頭で考える!と言う事の意味も教えてくれると思います。