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Channel: Old school オペラ発声研究家 宮前区在住 永田孝志の日々
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分かりやすさで誤解を生む

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世の中、分かり易い説明、指導が重宝がられますよね!

分かり易さとは、具体的で単一的なもの。即ち部分や側面であり、抽象度は低いのです。

私が「発声のマクロ構造」などと言えば、「もっと分かり易く説明してくれよ!」と成るわけです。

目的論としても、「声は、優しく柔らかい方が良いですね!」と言われれば、「確かにそうだ!」と思ってしまいますが、実際は、「声の強度を鍛えていない人達に都合の良い教え」であり、一面的な価値観であります。

一面的なもの、分かり易いものを「真実だ!」と思う心理を「処理流暢性」と言うらしいですが、声楽発声においても、この「処理流暢性」の高い人々が、具体的、一面的な価値観や方法論にはまりやすく、その事に拘る事が、次のステップへ進歩する事を難しくさせている事在るでしょう。

私も、その傾向の人間ですが、徹底的なる具体策を繰り返した結果、「ある段階までは良いが、それだけでは、ある時点から伸び悩み、右往左往するだけである!」と、心底痛感している次第であり、抽象度高く、共有出来る力の形のイメージに取り組みました。

声楽発声において、部分的で具体的な方法論は、部分的拘りを生み出し、硬直や脆弱性を生み出し、盲点を形成する事にもなります。

日本の声楽教育は、どちらかと言うと、優しさや柔らかさを重んじ、結果的には脆弱で曖昧な輪郭の音声を生み出しています。

ある意味、音声のゴールの価値観において、視野狭窄を起こしていると言えると思われます。

何故でしょう?
それは、それ以上の規模の声をゴールにする事が、あらゆる意味で困難であるからです。
言わば、そこはタブー視して、見ないようにしているのです。

最近、アマチュアの声楽愛好家市場に目覚めた?(遅いよ!)日本の声楽界ですが、常識的に考えた指導者像として、まさか指導者が、そのような偏りがあるとは夢にも思わない人が殆どだと思います。

どうか、教わる方が、この「処理流暢性」の高さから脱却されん事を願ってます。

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