黄金期以降、特に、アルトゥーロ・メロッキによるメソッドに観られる特徴は、喉頭を最大限に下げる、と言う発声であろう。
これは、同時に引き上げ筋を出来るだけ弛緩させる必要が出て来る。
このメソッドは、強くて、深く、金属的な声の傾向に統一される為に、多かれ少なかれ、デル・モナコのような声になるようである。
一方、黄金期の声は、喉頭は、引き上げ筋と引き下げ筋が同時に働く為に、最大限まで喉頭を下げる、叉は顎を落とす事は無い。
私の経験では、その喉頭の拮抗の下で仮に顎を最大限まで落とすと、音声は歪む。
一方、喉頭を最大限まで落とす発声で、特に高音域で、顎を最大限まで落とさないと、それも歪むのである。
要するに、喉頭周辺の筋肉のバランスにより、顎の動作が決定すると言う事が言えると思うのである。
喉頭は、引き上げ筋、引き下げ筋のバランスで出す場合は、最大限に下げるパターンよりも、操作アイテムを増やす必要が出て来る。
私は、それを解明した事で、寄り安定性の高い声の持続を可能にしたと自負している。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦」的な要素があるのは、論理的に言っても、「最大限」と言う項目がある方であろう。
放り投げるべく要素でもある。
そこには、いつも「怯え」が潜んでいる。
最大限と言う概念は、項目では無く、組み立てた形での最大値である方が望ましいと思うのである。
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顎の落とし具合と喉頭の関係
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