カルロ・ベルゴンツィは、最初バリトンだったのですが、聞いた話によると「最近声が変なんだ!」と言いながらテノールに転向した歌手です。
その発声は、他のテノールには無い、「確実に音に寄りかかる、滞在する」と言うニュアンスが顕著であると感じる。
最近、私が辿り着こうとしているタイプは、まさにこれでは無かろうか?
ドミンゴのような綺麗さは無く、着実に寄りかかる分、キューゾが強い故の止めの強さから来る胸に着いた声は、汚い声も多く、その分、微調整が難しいと思う。
しかし、本来重い声が高音域を安全に出し続けるには、必然的にこのタイプになるのでは無かろうか?と思う。
派手さは無いが、聴いている内に、心の奥に染み込んで来る様である。
日本的な綺麗な声しか聴いたこと無い人には取っつきにくいかも知れない。
黄金期の発声に近いと感じる。