これは、ディ・ステーファノが行っている息の支えにも見受けられますが、横隔膜を押し下げる事はしません。
従って、パッサッジョ域からも、柔和な明るい印象の声となり、普通は横に開いた声に成ります。
ディ・ステーファノは、そこで歌いきってしまうので、「カンツォーネのようにオペラを歌う歌手」と言う評を生み出すのでしょう。
肋骨による止めが強いと思われますが、その詳細ははっきりしません。
そこを押し下げて、それに対立点する力が弱いと、暗く、押し殺したような声になります。
一方、黄金期では、その対立によるバランス化の可能な最大値を感じます。
いずれにしても、横隔膜を押し下げる事を禁じ、それを前提に組み立てる発声は、表現に上限があります。
それを打ち破る程の表現は、禁じられている筈です。
それが、ロッシーニの嘆きの本質なのかも知れません。
まあ、憶測ですが・・・。
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ベルカントの支え
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