例えば、テノールのビラゾンと、黄金期に近い発声のベルゴンツィと、例えば音大の声楽の学生に聞き比べさせたら、ほぼ、ビラゾンを良いと言うでしょう。
日本の声楽の先生でも!恐らく同様な結果が出るのでは無いかと思われます。
そう、聴く人達の感性が、そもそもモダニズム的なのです。
声を止め付けるネジを、弛めた方(自由な感じ)を良しと感じるのです。
ところが、声を無くすリスクは、逆転するのです。
息で太くなる方が、崩壊に近い事は、声の性質上明らかです。
声を止め付ける為に使う力は、皆さんが思っているよりも遥かに過酷ですが、声を整えてくれるのです。
そのような、基本的な事が、全くと言って良い程理解されていないのです。
パヴァロッティが訓練の途中に、窒息しそうになる!とか!顔が真っ赤になる!などと言及している事と繋がるのでは無いですか?
それが解らないと言う事は、紙一重の妙技と言う概念も、理解されないと言う事になるのです。
モダニズム的な傾向に傾いているから、世界中を観ても、黄金期のような声をしたオペラ歌手が居ないのでしょう。
そんな中、現代のオペラ歌手の事情に飽きたらず、端正な黄金期の声に興味を持つ若者が居る事が、何よりも励みになります。
頑張ろう!