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Channel: Old school オペラ発声研究家 宮前区在住 永田孝志の日々
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頭声と胸声

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「呼吸を意識的に喉頭のレベルで抑制せず、声帯は吐く息に対して充分に抵抗すると言うことです。」と言う、リチャード・ミラーの記述を念頭に置くと、「声帯を薄く引き伸ばし、ファルセットを出すレベルで合わせる」と言う、高音域に関しての「キューゾ」理論は、辻褄が合わなく成ってしまいます。

キューゾとは、吐く息に、充分に抵抗すると言う事であり、それでこそ、声の芯、輪郭がはっきりと形成されるのです。

後、巷では、ファルセットの割合と、胸声の割合は、例えば、「1:99~99:1まで、無段階に調合可能である」と言う理屈ですが、これも、演繹法と言うか、似非理論と言うか・・?
ファルセットの割合が、ある一定の割合を越えると、全部ファルセットに成る性質、即ち、「ひっくり返る」と言う現象が起きると思われます。

呼気と吸気の闘いの結果、高音域に成れば成る程、その差は僅かになり、それは、感覚的に、声道の出口のパイプの太さに投影されます。即ち、パイプが細く成る体感が起きるのです。

私の体感の話ですが、高音域は、呼気の総エネルギーは弱まりますが、細く成った面積での気圧は、決して弱くは成りません。

そこを履き違えて、太いパイプのまま、声帯を薄く引き伸ばそうとする意識で高音域出すと、不安定になる事は容易に想像がつきます。

恐らく、「針の穴を通すように細く声を出す」と言う格言も、その体感から来る事では無いのでしょうか?

決して、身体から前に離れた場所でのイメージの世界だけの話では無いと思います。

さて、今回貼り付ける動画は、そんな声帯の抵抗に関する問題を考えさせられたものです。
フランチェスコ・アライザー(テノール)の発声なのですが、高音域での声門の抵抗が少し弱い為に、不安定になる事と、最高音域のh以上の声が、頭声に成りすぎて、弱々しく成るのです。
要するに、そこで一貫性が途絶えるのです。




また、頭声と胸声を無段階に対比させる事など現実的では無い事を下の動画は物語っています。



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