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Channel: Old school オペラ発声研究家 宮前区在住 永田孝志の日々
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メソッドの盲点

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様々なマエストロによる様々なメソッドが在ります。
これら、それぞれ共通点が在ったり、主張が異なる事が在ったりします。

これは、どちらかが正しく、どちらかが間違っている、と言う見方もありますが、細かい所では、それぞれ発声のタイプその物の違いもあり、それぞれに但し書きが在るのだと思います。

要するに、完璧なメソッドなど存在せず、常に暴れん坊である声に対し、盲点の隙間をすり抜けて暴れようとする性質を理解し、監視する必要があると思います。

となると、相対的なバランス構造を把握する事が、最も優れた理解の仕方に成ると言う結論に至る事になるのでは無いでしょうか。

一つの部分的現象に拘る事は、全体のバランス構造と言う視野が奪われ、それが盲点となります。盲点と言うより、盲域?と言った方が良いかも知れません。

留学体験でのマエストロの教えを信じ込む余り、「足りないもの」を考察して行かねば、盲点にある「真実」「事実」を見逃すどころか、それを「そんな事言われていないから間違ってる」と認識しかねません。

現に、イタリアでも、世界中にも、かつての黄金期の最もトラディショナルな形を伝える事が出来る優れた教師は絶滅してしまった事は良く言われているが、歌手らの音声を聴けば、その事実は理解出来るのである。

それなのに、イタリアなどでのレッスン体験を頂点(神聖化)とする思考となると、劣化派生的な教え以下の産物と化す事は免れ無いのである。
人は、どうしても、「こうである筈だ!」と言う物語を作り出し、美化し、信じ込む傾向にある。

しかし、現実は、劣化派生ながら「あたしのは、劣化派生だけど・・」などと言うマエストロは居ないのである。(笑)
(もし、居たら、友達に成りたいものである。)

そのような、美化された物語では無く、事実、現実を冷静に、冷酷に観る事こそ、自分の頭で考えると言う事に繋がるのでは無いかと思う。

マエストロが、いい加減なデタラメを言っている事実もある可能性もあるのだ。

「イタリアベルカント教信仰」を利用した商売と化している現実を踏まえると、マエストロの教えの裏にある真実を洞察、考察する作業が必要であろう。

お人好しで従順、信じやすい日本人には、酷な作業かも知れないが・・・。


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